入り口があるなら
出口がある
入り口から入ったのに
出口が見つからず
途方に暮れる
歩き回って探すけど
見つからなくて
非常口がないか探すけど
何処にも見当たらない
入り口に戻ろうとするけど
来た道はまるで生きているかのように
また新たな道になっている
残りの電池が少ないライト
ポケットにある二つの飴玉
小さなペーパーナイフがあるだけ
ナイフで飴を砕いて少しずつ舐めて
ライトで道を照らし進む
当てもなく
ただひたすら出入り口を求めて
歩いた
道は狭くなっていく
そして僕は目に先にライトではない
とても小さな光を見つけた
小さい穴だったけど
それは外の月明かりが漏れていたのだ
ナイフで必死に穴を広げようとするけど
岩は硬く思うように砕けない
するとナイフは砕けて僕は希望を失う
外を見るとそこには草原が広がっていて
月明かりで白い花が美しく風に揺れて
遠くに見える大きな湖の水面には
月が映っていた

『外に出たい』

腕を伸ばすけど届かなくて
爪を立てるけど岩は砕けなくて
涙を流すけどただ流れるだけで
声を上げるけど何も変わらなくて
辛くて岩を叩いたら
来た道は崩れて塞がって
まるで小さな牢獄にいるような
そんな心境になる
外に見える景色が羨ましくて
太陽が昇りまた月が現れるの繰り返し
僕は決心する
砕けたナイフの欠片で手首を切る
溢れる血で砕いた土くれに混ぜて
粘土状になった欠片を穴を埋めるように
ひたすら練りこんでいく
忽ち穴は閉じていって
空気がどんどん薄くなる

『さよなら。外の世界』

ゆっくりゆっくり目を閉じて
なぜ僕はココにいるのかと
くだらないことを考えた
ライトはいつのまにか点かなくなっていて
ポケットから最後の飴玉の欠片を
口に入れる
味は分からなかった
口を閉じる力も無くなってきて
溶けた飴玉の欠片が零れた
もう終わりなんだと感じる
何が終わりなのかそれさえも分からないけど
何かが終わることは分かった
最後に見た外の世界は綺麗だった
あんな世界だったら
もう一度生まれたい
羨むほど綺麗な世界なんだもの
生きる希望をなくすほど綺麗な世界だもの
汚したくないと思わせるそんな世界に
生きることが許されるなら
もう一度生まれ変わったら生きたいよ
出口は見つかったのかもしれない
いや見つかっていたのかもしれない

『もし今でも外に出て生きることが許されるなら生きたいけれど僕は外に出してもらうことさえ天に許されなかった身…生まれ変わることはもう許されないかもしれないけれど…一度は手放した希望を持って出口に向かいたいのです…どうかこのまま僕から希望を奪わないで…』

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