片手にギターを
頭には帽子を深く被って
ぼろぼろになったマントを
肩から掛けて
俺は夕陽に背を向けて
何処までも何処までも
アナタへの片思いと共に
歩いて行こう
奏でるのはアナタへの思い
アナタへ伝わることのない
悲しいフォークソング

何日食べ物を口にしていないだろう
収入は道行く人の哀れみの銭
水は天からの恵みを器に取る
傘もないから体はいつでも雨に濡れて
いつも心みたいに冷たい
弦は大切に扱ってきたが
ついに真ん中が切れてしまった
前髪はもう鼻まで隠して
靴はつま先が見えるくらい捲れてる
歩く力絶え絶えに橋下まで来た
終わりが近いと体が感じている

君と離れてどれ位経ったんだろう
今でも鮮明に君の顔が浮かぶよ
雨が降る空を眺めて君の全てを思い出す
頭はもう可笑しくなっているのかも知れない
無いはずの弦の音が聞こえる
次第に涙が頬を伝わりギターへと落ちる
聞こえるかい?君への思いが
天へと届くように力いっぱい歌うよ
約束しただろう?君以外愛さないと
生涯君だけを愛すると…
どうやら僕は約束を果たせそうだ

流離の歌い人は橋の下で亡くなった
悲しい音楽に気づいた村人が着いた時には
ギターを抱えたまま
たった今まで歌っていた歌い人がいた
その表情は涙を流し眠っているようだった
ギターの弦は全て切れていたという
村人は哀れに思い亡くなった場所に
ギターと向かい合わせに埋めたという
きっとギターの奏でてくれた音が
歌い人を恋人の元へと
連れて行ってくれるだろう
今でも耳を澄ませば聞こえてくる

何年も一人で耐えた流離の歌い人の歌が…
今、会いに行きます…待たせたね…

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