女の子が朝を覚ました。八時過ぎ。兄弟は皆出かけた後。聞こえるのは酔った父親の声と疲れてる母親の声。女の子はもう一度眠りについた。数分後「今日学校は?」と母親の声。「十時半に学校…」って答える女の子。その数分後女の子はベッドからようやく起きる。洗面所に向かい顔を洗う。父親も母親もまだ居間にいた。女の子は部屋に戻りゆっくり身支度をする。鞄を持ってゆっくりと玄関に向かう。ドアから出れば母親が鍵を閉める音が聞こえた。自転車を出して学校へ向かう。その時パラパラ雨が降ってきた。今更傘など取れない。女の子は自転車を漕ぎ出した。雨は強くなる一方。前髪に雫が出来る。時間は間に合わない時を指している。それでも漕ぎ続け学校の車庫に入れる。玄関は意外とにぎやかで女の子は指定された部屋へと向かう。新しい机と古い机を入れ替え自分の席につく。先生の話は殆ど耳に入らなかった。新しい教科書を買いまた一人で車庫に向かう。学校にいた時間は15分と無かっただろう。雨は降り続けている。濡れた制服にまた雫が落ちる。髪につけたワックスが雨と一緒に顔を伝う。スカートは捲れる心配が要らないくらい濡れ足に纏わりつく。自転車は雨に濡れブレーキがあまり効かない。このまま車にでもぶつかってしまえば…なんて思った。今自分は何の為に自転車を漕いでいるのか分からないなんて思ったりした。けど時は残酷で気がつくと家の前まで来ていた。ベルを鳴らしドアが開くのを待つ。少しするとドアが開き母親は何も言わず階段を上っていった。女の子もゆっくり靴を脱ぎ階段を上がる。上がると居間には父親がいた。父親が「おかえり。まだ雨降ってた?」と聞いてきたが「うん」としか答えなかった女の子。部屋には向かわず洗面所で体を拭いた。制服はいつもの倍くらい重かった。母親が何度か話し掛けてきたが良く覚えていない。「雨が…」「そういえば…」呪文のようにも聞こえた。部屋に戻り女の子は考える。数分後インスタント食品を食べたあと女の子は部屋の片付けを始める。この頃は忙しくて部屋が荒れてたなぁなんて思って片付けていた瞬間。自殺をする人というのは自分の身の回りを片付ける、いわゆる身辺整理というやつを突然始めると思い出した。そのとたん…
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