追いかけて。
追いかけて。
走っていたのに。
遠ざかる光。
あるのは道。
終わりのない。
道。
道。
道。
ランタンももうすぐ消えるだろう。
光がなくなる。
道さえも見えなくなる。
あるのは。
闇。
闇。
闇。
そんな世界に行きたくない。
けど近づいてくる。
逃げても。
逃げても。
ついて来るんだ。
あいつが来る。
逃げても。
隠れても。
どんなに遠くに離れても。
あいつが追いかけてくる。
行きたくないのに。
そこには何もないのに。
まるであるかのように。
幻を見せてくる。
言葉巧みに騙そうとしてくる。
嘘だと分かっているのに。
魅了される。
行きたくないのに。
あいつは追いかけてくる。
ランタンの光を追って。
消えたら道が分からなくなってしまう。
消えないで。
お願い。

横から誰かが風を吹きかけた。
足音もなくいつからそこにいたのかさえ分からない。
ランタンの炎が揺れた。
「あたしが…消してあげる」
そいつは言った。
そしてまた吹いた。
炎は消えた。
揺れた炎の中にいた…顔は…

あいつはすでにこんなに近くにいたんだ。
そいつはあいつ。
あいつはそいつ。

闇に埋もれたあいつの名前は…

死神

                 獅櫻

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索